古物台帳の「確認方法」欄——とった措置を、どう書き表すか

なぜこの欄だけ、こんなに抜けるのか

副業で古物商を始める準備をしている個人開発者です。台帳の書き方を続けて書いてきましたが、今回で記載事項の主要な欄が一通り揃います。最後に残したのが「確認方法」欄——最初の記事で「最頻出の抜け」と書いた箇所です。

実際、いくつかの台帳サービスの出力を確認したときに、住所・氏名・職業・年齢は入力できるのにこの欄だけが用意されていないものがありました。自作のエクセルでも、抜けているケースが多いのではないかと思います。なぜこの欄だけ、そこまで抜け落ちるのか。理由ははっきりしていて、条文の書きぶりが独特で、何を書けと言われているのか分かりにくいからです。

今回この記事を書くにあたって、警察庁の通達も警視庁の記載例も当たってみたのですが、この欄の書き方を解説した公的な記載例は見つかりませんでした。他の欄には具体例があるのに、確認方法欄については条文しか手がかりがない。だとすれば、条文そのものを読むしかありません。読んでみると、実はかなり整理された構造になっていました。

結論:「どの措置をとったか」、場合により「その方法」まで

先に答えを書きます。

  • この欄に書くのは、相手方の確認としてとった措置が、法律の定める4つのうちどれだったかです
  • さらに1号と4号の措置をとったときだけは、「どの方法で」までを書きます
  • 2号と3号は、区分だけで足ります

「確認方法」という欄名から、免許証を見た・住民票をもらった、といった手段を書く欄だと理解している方が多いと思いますが、正確にはまず措置の区分があり、その一部について方法が加わるという二階建てです。この構造が分かると、書くべきことがはっきりします。

条文の構造:1号と4号だけ、扱いが違う

根拠は古物営業法第16条第5号です。帳簿に記載すべき事項として、こう書かれています。

前条第一項の規定によりとつた措置の区分(同項第一号及び第四号に掲げる措置にあつては、その区分及び方法

「前条第一項」は第15条第1項、つまり相手方の真偽を確認するためにとるべき4つの措置のことです。整理すると次のようになります。

とった措置 内容 帳簿に書くもの
1号 相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認する 区分+方法
2号 住所等が記載され、相手方の署名がある文書の交付を受ける 区分のみ
3号 これらの情報に電子署名がされた電磁的記録の提供を受ける 区分のみ
4号 1〜3号に準ずる措置(非対面で使える13の方法) 区分+方法

なぜ1号と4号だけ、方法まで求められるのか。条文を並べてみると、理由が見えてきます。

2号と3号は、条文自体がやったことを特定しています。「署名のある文書の交付を受ける」「電子署名された記録の提供を受ける」——どちらも行為の中身が一つに決まっているので、区分さえ書けば何をしたかが分かります。

ところが1号は「確認すること」としか書いていません。どうやって確認するかは施行規則第15条第1項に委ねられていて、そこには2通りの手段が挙げられています。ひとつは身分証明書等(運転免許証、マイナンバーカード等)の提示を受けること。もうひとつは、相手方以外の者で相手方の身元を確かめるに足りるものに問い合わせることです。区分だけでは、このどちらをやったのか分かりません。

4号はもっと幅があります。非対面で使える措置として、施行規則第15条第3項に13種類が列挙されています。本人限定受取郵便を使うもの、住民票の写しと転送不要郵便を組み合わせるもの、ソフトウェアで本人確認書類を撮影・送信させるもの——中身はまったく違います。ここで「4号」とだけ書かれても、何をしたのかは再現できません。

つまりこの非対称は、「後からたどれるだけの情報が残るか」という一点で線が引かれているわけです。帳簿の目的が盗品の発見にある以上、確認の中身が特定できなければ意味がない。そう考えると、この括弧書きは合理的です。

実際の書き方の型

以上を踏まえると、書き方は次のように整理できます。

実際にやったこと 確認方法欄の書き方(例)
対面で運転免許証を見せてもらった 1号/運転免許証の提示を受けた
対面でマイナンバーカードを見せてもらった 1号/個人番号カードの提示を受けた
相手の身元を、勤務先など第三者に問い合わせた 1号/身元照会(問い合わせ先)
住所等を書いて署名してもらった書面を受け取った 2号
電子署名された記録の提供を受けた 3号
住民票の写しを送ってもらい、その住所へ転送不要郵便を送って到達を確かめた 4号/規則15条3項4号(住民票の写し+転送不要郵便の到達確認)
本人限定受取郵便を送り、到達を確かめた 4号/規則15条3項2号(本人限定受取郵便の到達確認)

号数だけを書く形でも条文の要求は満たせますが、括弧の中に日本語で中身を添えておくことをおすすめします。警察の立入りがあったときに、号数の羅列よりも「何をしたか」が伝わるほうが話が早いからです。自分が後から見返すときにも、そのほうが分かります。

ここは、台帳を作る側としても迷ったところでした。号数を選ばせるだけの入力欄にすると、書く人は楽ですが後から意味が読み取れません。逆に自由記述だけにすると、条文の区分が抜け落ちて「免許証確認」とだけ書かれることになります。コブチョウで確認方法を選択式にしつつ内容を残せる形にしているのは、この区分と方法の二階建てを、書く人に意識させずに満たしたかったからです。

よくある誤解

  • 「免許証を見たから『確認済み』と書けばいい」——それでは、法律が求める措置の区分が記録されていません。1号であること、そして提示を受けたことの両方が要ります
  • 「相手の住所・氏名を書いたから、確認方法欄は不要」——別の記載事項です。第16条は4号で相手方の住所等を、5号で措置の区分を、それぞれ独立に求めています
  • 「非対面だから『ネットで確認』と書けばいい」——4号の措置は13種類あります。どれを使ったのかが分かる書き方が必要です
  • 「身分証のコピーを保管しているから、欄は空でよい」——保管は保管、記載は記載です。なお4号の措置には、書類の写しや画像を帳簿とともに保存することを条件としているものがあり、その場合は保存も要件の一部になります
  • 「1万円未満だから確認方法も空欄」——1万円未満かつ例外品目でない取引は、そもそも記帳自体が免除されます。免除されない取引で欄を空けることはできません

おわりに

確認方法欄が抜けやすいのは、書く人の怠慢というより、条文が何を求めているのかが読み取りにくいことに原因があると思います。「とつた措置の区分」という言葉から、免許証を見たことを書けばいいのだと直感的に分かる人は、そう多くないはずです。

けれども構造が分かってしまえば、書くべきことは一つに定まります。4つのうちどれをとったか。1号と4号なら、その方法も。これだけです。そして、この欄がきちんと埋まっている台帳は、相手方が誰であったかを後から説明できる台帳でもあります。盗品をつかまされたときに自分の立場を守るのは、結局この記録です。

これで、台帳の主要な記載事項——記載事項の全体像、特徴、区別、そして確認方法——が一通り揃いました。書き方の迷いが減れば、記帳そのものの負担はかなり軽くなります。コブチョウは、これらの欄が最初から様式15号に沿って並んでいる状態で記録を残せるようにしています。台帳の形を自分で組み立てる手間を省く道具として使ってみてください。

次回は、ここまでの記事で何度か触れてきた「台帳をデータで持つ」ことについて——電磁的記録として保存する場合に、法令が何を求めているのかを取り上げる予定です。

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※この記事について
帳簿への具体的な記載方法については、公的な記載例が示されていない部分があり、所轄の警察署によって指導が異なる場合があります。最終的な判断は、管轄の警察署(生活安全課)にご確認ください。本記事は一般的な情報提供であり、個別の法律相談ではありません。

参考(一次情報)

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